Simplex Integrated Report 2024【統合報告書】
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― シンプレクスグループのガバナンスの状況をどう捉えていますか秋山:ガバナンス上でもっとも重要なポイントは、経営の判断に問題が生じた場合や経営陣に問題があると判断された場合に、取締役会がその決断を止めたり、経営陣を交代させる機能を持っていることです。この点において、当社は取締役の過半数が社外取締役で構成されており、十分に牽制が効く体制を整えています。アグレッシブでありながらも慎重さを兼ね備えた金子社長のリーダーシップは、シンプレクスグループの成長の源泉です。そこに外部から各専門分野の有識者が役員として加わることで、守りと攻めの比重の見極めを行っていくことが重要となります。また、意思決定のプロセスに関しても、グローバルの動向をしっかりと織り交ぜつつ、多面的な議論を目指すことで、透明性や論理性といった付加価値を高める役割を担っていると考えています。Simplex Integrated Report 202453ESG:ガバナンス社外取締役(監査等委員)監査等委員長/指名・報酬委員会委員秋山 良三社外取締役(監査等委員)高橋 麻理シンプレクスグループについて外資系大手総合コンサルファームで培った豊富な知見と長年の代表取締役経験を基に、シンプレクスグループの事業戦略の適切な意思決定を支援いただいている秋山取締役。一方、検察官・弁護士としての長年の経験と見識を活かし、当社グループのガバナンスとコンプライアンスの強化に貢献いただいている高橋取締役。各専門分野の有識者として、当社グループの強みやガバナンスの状況をどう捉えているのか。社外取締役を代表してお二人にお話を伺いました。グループとしての強みとガバナンスの現状- 社外取締役の立場から、シンプレクスグループの強みをどう考えていますか秋山:シンプレクスグループの強みは、堅実なビジネス基盤を持ち、自らのコアコンピタンスを的確に捉え、「できること」と「できないこと」を明確に理解している点です。ビジネスの観点から見ても、システム開発という分野が近い将来に廃れる可能性は極めて低いと考えています。さらに、当社グループはメガバンクや大手ネット証券を主要顧客として、社会インフラに匹敵するシステム開発を手掛けています。これは、どれだけ高い技術力を持っていても、一個人では到達できない領域であり、当社グループのように組織として集合知を結集することで初めて実現できるものです。したがって、他社に容易に取って代わられることのない強固な基盤を築いていると言えるでしょう。一方、急速な変化を遂げる現代において、現状維持に甘んじてしまうことは大きなリスクとなります。そのような状況において、当社グループは堅実なビジネス基盤を持ちつつ、同時に他社にはない独自の競争力を発揮しながらアグレッシブな挑戦を行っています。この点が当社グループの大きな強みであると認識しています。ビジネスモデル成長戦略マテリアリティと主要リスク高橋:私は、長年にわたる努力の積み重ねによって醸成された「組織風土」こそが、シンプレクスグループの強みだと捉えています。私は弁護士として不祥事が発生した企業の調査報告書を分析する機会が多いのですが、共通して見られるのは組織風土の問題です。多くの場合、厳しい納期や過度なノルマが至上命令となり、企業倫理やコンプライアンス意識が希薄になることで不正が起こりやすくなるといえます。こうしたなか、当社の取締役会での議論や業務執行取締役の方々との面談を通じて実感するのは、行動規範である「5DNA」をはじめ、経営理念や価値観が会社全体に深く浸透していることです。社員一人ひとりが、「クライアントのために最高の仕事をする」という共通認識を持ちながら、チーム全体で協同してビジネスを推進しています。さらに、自らの仕事に誇りを持ち、クライアントからの信頼を得ています。このような組織風土は、不祥事が起きやすい企業とはかけ離れたものであり、当社グループの大きな強みであると確信しています。データ社外取締役インタビュー未来を拓くガバナンスの実践

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