Simplex Integrated Report 2024【統合報告書】
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Simplex Integrated Report 202446ESG:社会プロジェクトA各プロジェクトに期限付きで社員をアサイン全社員の「本籍」アサイン期限時に社員面談を踏まえ次のアサインを検討シンプレクスグループについてビジネスモデル成長戦略プロジェクトCマテリアリティと主要リスクリソースマネジメントディビジョンは、ダイナミックで戦略的なリソースアサインメントの実行を目的として、2020年に組成されました。プロジェクト側の需要と全社リソースのマッチングに加えて、育成観点での社員の戦略的ローテーションに力を入れています。リソースマネジメントディビジョンを全社員の「本籍」であると捉えていただけるとわかりやすいかもしれません。グループ内のすべてのプロジェクトの状況を把握したうえで、各プロジェクトに社員を期限付きでアサインします。社員のスキルセットとアサイン期限を含む稼働状況を見える化することで、プロジェクトの状況に応じたリソースの全社最適を行うことをミッションとしています。アサイン期限が近づくと、リソースマネジメントディビジョンの責任者も務めている私が社員と面談を行います。この面談では、社員のキャリア、現在のプロジェクトでの役割、達成感やストレス状況等の把握に注力しています。加えて、開発よりもマネジメントに力を入れたい、エンジニアとして技術を極めたい、コンサルタントとしてより上流から関わりたい等、今後のキャリア志向についても徹底的にヒアリングを行います。先ほど、月に80~100回程度社員と面談をしていると申し上げましたが、この面談こそがリソースマネジメントディビジョンの核となる活動です。その後、業務執行取締役やディビジョンヘッド等を招集したアサイン会議を週に1度実施し、社員との面談で得たヒアリング結果をもとに、プロジェクトマネージャーと調整を行います。もちろん、全員の希望を完全に叶えることはできませんが、意に沿わないアサインになった場合には、その理由を本人が納得できるまで説明するように留意しています。このように、社員のキャリア志向を踏まえた戦略的なアサインにより、適材適所にリソースを配分することが可能となり、結果として離職率の低減にも寄与しています。2021年3月期に11%だった離職率は2024年3月期には8%へと低下しました。中計2027では離職率9%未満を掲げていますが、数字上はすでに達成しており、この水準を今後も改善・維持していくことが求められています。データリソースアサインメントのイメージプロジェクトBリソースマネジメントディビジョンダイナミックで戦略的なリソースアサインメント― リソースアサインメントに関する取り組みを教えてください企業が停滞する要因のひとつに「セクショナリズム」があります。縦割り組織が多い日本企業の場合、部署間の協力が少なく、情報共有も至難の業です。優秀な人材を組織内に囲い込んでしまうという弊害も見逃せません。そんななかで私たちが実現しているのは、組織の境をなくしたフラットな組織運営であり、プロジェクト単位で人材が配置される仕組みです。シンプレクスでも対外説明上の簡明さからビジネス領域ごとにディビジョン(組織)を区別はしていますが、リソースアサインメントの観点でいえば、社員はディビジョンを飛び越えて、プロジェクトを行ったり来たりしています。また、最近ではシンプレクスからクロスピへのグループ間出向にも注力しています。このようにグループ全体で人材を適材適所に配置するミッションを担っているのが、独立組織である「リソースマネジメントディビジョン」です。社員一人ひとりの付加価値向上に貢献する― 最後に、人事のトップとしての思いを聞かせてください私たちが現時点で手掛けている事業は、大ヒットゲームを開発して大きく収益を上げたり、広告を掲載するプラットフォームを運営したりする事業ではないので、レバレッジが効きません。顧客企業のビジネスを後押しする付加価値の高いサービスを提供する地道なもので、労働集約型のビジネスモデルといえます。したがって、今後も持続的な成長と高い収益性を実現していくためには、より多くの優秀な人材が必要です。私たちの経営課題の半分以上が人材に関わることといっても過言ではありません。視点を変えれば、経営課題の半分以上を直接担う当事者として人事部門が存在するということです。私は、社員一人ひとりの付加価値の総和が会社の業績として現れると考えています。依然として採用環境は厳しい状況ですが、今後も採用の強化と離職率の低下、そして、社員がモチベーティブに働き、自らの付加価値を上げられる環境整備に取り組んでいく方針です。中計2027においてコミットした業績目標や、Vision1000で掲げた目指す姿の実現に向けて、シンプレクスグループの未来を作っているという責任の重さを日々意識しながら、今後も業務に邁進していきます。

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