Simplex Integrated Report 2024【統合報告書】
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As of 2024, Simplex Holdings, Inc. received an MSCI ESG Rating of BBB.26CFOとしての課題認識とコミットメント私は2007年に新卒でシンプレクスに入社し、エンジニアとして顧客企業の収益力の向上に全力で取り組んできました。その後、経営企画部署を経て、2021年の再上場のタイミングでCFOに就任。再上場以降、代表取締役社長である金子と共にIR活動を推進しています。現状の課題として認識しているのは、株式市場における当社株式の流動性の向上です。この課題に対しては、株主・投資家の皆さまとのディスカッションを重ねていくとともに、シンプレクスグループの認知度を高める施策を実施する等、投資家層のすそ野を広げるIR活動に注力していく方針です。こうした方針の下、当社は2024年6月の定時株主総会後に、再上場後初となる11年越しの株主懇親会を開催しました。200名を超える株主の皆さまにご出席いただき、社外取締役も含めた当社経営陣にとって、大変有意義な対話の機会となりました。株主の皆さまに向けては、剰余金の配当等による株主還元や、企業価値の向上を通じて報いていきたいと考えており、今後もより一層業務にコミットしていく所存です。真摯なIR活動を通じて、株主・投資家の皆さまとの信頼関係を構築していけるよう、引き続き精進していきます。サステナビリティに関する取り組み変化するビジネス環境のなかで、私たちが持続的な成長を続けるためには、その源泉となる社会全体の未来を見据えて、取り組むべき課題の解決に貢献する必要があります。こうした考えの下、私たちはイノベーションを持続的に創出し、自身の競争力を高めることで責務を果たし、社会に還元を図っていく方針です。サステナビリティにおいて特に重視しているのが、人的資本の最大化です。私たちは人的資本の最大化を含め、サステナビリティに関する取り組み全般について、2023年に設置した代表取締役社長が議長を務めるサステナビリティ会議において、シンプレクスグループとしての対応を協議・決定しています。2024年3月期には、CFOである私自らがオーナーとなって、マテリアリティの特定や有価証券報告書、コーポレートサイトの情報拡充に注力しました。今回の統合報告書の制作もこうした情報拡充施策の一つです。まだまだ道半ばではありますが、今回発行した統合報告書に対して、株主・投資家の皆さまからさまざまなフィードバックを頂戴しつつ、今後の活動の糧としていきたいと考えています。これらの取り組みを受けて、外部の第三者評価も向上しています。MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)の最新のESG格付けでは、BBからBBBに1段階向上しました。一方で、評価項目別に内容をみた場合、ガバナンスに関する評価が向上したものの、社会、特に人的資本に関する評価が低い状況にあります。当社としては、この評価結果を真摯に受け止めたうえで、引き続き情報開示の強化を図り、適切な評価に繋がるよう取り組んでいきます。ESGに関する外部からの評価MSCI BBBのれんについて2013年にMBOを実施した経緯から、当社は一般的な企業に比べ、事業規模に対して資本が相対的に大きく、資本コストが捉えにくい状況にあります。MBOを実施した際の主な資金は、手元資金と当社創業メンバーの出資のほか、デット・ファイナンスによる資金調達とプライベートエクイティであるカーライル・グループの投資ファンドによる出資で構成されました。このような経緯から、MBO後の当社筆頭株主はカーライル・グループとなりました。その後、2016年にカーライル・グループの投資ファンドが保有していた当社株式を取得することを目的として、日本政策投資銀行を主たる出資者とする特別目的会社により実施された吸収合併により、のれん364億円を認識しています。なお、日本政策投資銀行が保有していた当社株式は、2021年の再上場時にすべて売出されています。ROE目標と株主還元こうした状況も踏まえ、私たちは重要な経営指標の1つとしてROE目標を提示することを基本方針としています。M&A等のインオーガニックな成長がない前提において、絶対的な目標水準として、中計2027の最終年度までにROE17%、長期目標としてはグローバルで一定評価される水準であるROE20%の達成を目指していきます。資本効率を意識した経営に取り組む私たちにとって、資本効率の向上に寄与する株主還元についても、キャピタルアロケーションにおける重要施策として認識しています。具体的には、業績動向やROE水準、成長投資の機会等を総合的に勘案したうえで、配当を基本として株主還元の充実に努めていきます。配当については、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的かつ持続的な増加を基本方針とし、2024年3月には、配当性向の目安を従来の30%から40%に引き上げる方針変更を行いました。また、自己株式の取得についても、資本効率の向上に寄与する株主還元策として、前述の配当決定に係る検討事項に加え、株価を含めた市場環境を考慮したうえで、機動的に実施していく方針です。

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